保険料納付要件は、初診日が属する月の前々月までの保険料が要件のとおり支払われていることを確認しますが、そのためには初診日を確定しなければまりません。初診日の確認は、医療機関の診療録などに基づいて作成された、「受診状況等証明書」により行われます(初診医療機関と診断書作成作成医療機関が同じで診断書で初診日が確認できれば不要です。)。
ところが、医療機関に、「受診状況等証明書」の作成を依頼しても診療録の保存期間が5年と法定されていますので、それ以前のものは破棄されている、あるいは、廃院により医療機関が存在しないといった問題に直面することがあります。その場合でも救済される方法はありますが、そのための資料(証拠)を探すことが容易ではありません。
また、本人が初診日であると思っている年月日も10年、20年前の話になると記憶違いということもあります。ときには、初診日と思っていた日より前に診療を受けていたためにそれが遡ることがあります。こうなると、保険料納付要件を見直さなければなりませんし、初めから受診状況等証明書の作成をやり直さなければならないといった問題も起こります。
特例の認定日を除いて、初診日から1年6月経過した日を障害認定日といいます。障害認定日に障害等級に該当していれば障害年金は支給されます。この申請方法は障害認定日請求といいます。障害認定日に障害等級に該当しているのに申請しないで、1年を超えてする申請を遡及請求といいます。遡及請求は、経過期間が短くて、「受診状況等証明書」と「診断書」の入手が容易にできればよいのですが、前述のような古い話になると、「 受診状況等証明書」どころか「診断書」の入手も困難となり、一層申請が難しくなります。
障害認定日に障害等級に該当しておらず、その後に該当してする請求を事後重症請求といいます。事後重症請求は、65歳の誕生日の前日までに申請して受理される必要があり、それ以後では申請ができなくなります。また、この請求は、「受診状況等証明書」の入手は困難ですが、「診断書」は申請日前3月以内の現症日でよいので容易に入手できます。このため、遡及請求において、認定日の「診断書」が入手できないので事後重症での申請をせざるをえないという状況も見受けられます。
このように、障害年金の申請には、「受診状況等証明書」と「診断書」の提出が欠かせませんので、これらを首尾よく揃えられないと申請が難しくなるのです。